外壁タイルの浮きの原因とは

外壁タイルが浮き上がって剥がれてくることは珍しいものではありません。
このような状態になると建物の劣化に繋がってしまいますし、何より剥がれたものが人にあたってしまうと事故につながってしまうだけに大変危険な状態であるため、
できるだけ早めに対処をする必要があります。

それではなぜ、外壁タイルが浮き上がってきてしまうことになるのかというと、基本的には劣化が原因となります。
タイルは外部の影響を受けにくく長期間建物を守る役割を果たしてくれると言いますが、これは間違いではありませんがそのまま長期間使用できるものでもありません。
理由としてはタイルそのものは外部の影響を受けにくくても、その下地になっている外壁は影響を受けてしまうためです。
いくら、守られた状態とは言えども外部の影響を受けやすい部分であるため、僅かではありますが膨張や伸縮を繰り返すことになります。
そうなればその表面についている接着剤も劣化をすることになって、そこにくっついているものも浮き上がり最終的には剥がれてしまうということになるのです。

しかしながら、弊社にある依頼でもかなりの確率で多いものが、新築時の「施工不良」と思われるタイルの浮きです。施工不良にも何パターンかありますが
一つ目に考えられるのはタイルを張る際の圧着不良です。
外壁に貼り付ける時にはただ貼り付けるだけでなく、専用の工具を使用して強く圧迫をして下地に圧着させる必要がありますが
圧着が弱すぎると時間の経過とともに浮いてきてしまうことになります。
二つ目はタイルを張り付ける際の時間経過の問題です。
タイルの張り方にもよりますが一般的によく使用される45二丁タイル(45㎜×90㎜の大きさ)を張る場合、
躯体コンクリート下地にタイル貼付用のモルタルをある程度の面積塗広げてからタイルを張り付けていくのですが、
その塗り置き時間が長くなってしまった場合、接着力の低下を招いてしまいます。(ドライアウト)
貼り付けモルタル塗りつけ後からタイルを張るまでの時間管理が重要となります。
三つ目は躯体コンクリート表面が埃等で汚れてしまったまま次工程に入ってしまった場合です。
一般的にコンクリート壁面を高圧洗浄機などで洗浄してから次工程に入るのですが
それを怠ってしまった場合埃等が乗っている上から貼り付けモルタルを塗りつけても
十分な接着強度を確保できなくなる場合があります。
四つ目は躯体コンクリート壁に残った型枠離型剤(コンクリートで躯体成型時に型枠に塗布して使用され、硬化後の躯体と型枠の離れを容易にする事及び躯体の外観を美麗に保ち、型枠を錆や腐食から保護する事を目的で使用される液体の材料)がそのまま壁面に残ってしまっているのに次工程に入ってしまった場合です。広い範囲でタイルの浮きがあり、タイルを張る為のモルタルがタイル側に残っている場合はほとんどがこのパターンです。

2012年改訂の建築工事標準仕様書により現在は「目荒し」といってタイル表面を超高圧洗浄機などを使用して躯体コンクリートの表面をごつごつするまで荒し離型剤を剥離するとともに貼り付けモルタルとの食い付きを良くする工程が組み込まれている為、以前よりもかなりの確率でこういった不具合は無くなっているとは思いますがそれ以前に建てられたものに関しては目に見えない工程であるが故に省略されている場合もたくさんあると思われます。

最後にもう一つ、最近ではあまりありませんが、質の悪いモルタル材を使用することによって、浮き上がってきて剥がれてしまう場合です。
どれだけ丁寧な作業をし手も元の材料が悪ければ長持ちをすることはありませんから、材料が悪いとすぐに劣化を引き起こして浮いてきてしまうことになるのです。
ただし、近年は建築基準が厳しくなったこともあってあまりにも質の悪いものを使う業者は減ってきたので、最近のものであればそれほど心配をすることはありません。

最後に職人の技術によっても影響があり、腕のいい職人であれば長持ちをするものを仕上げてくれますが、腕が悪ければ剥がれやすくなってしまいます。
パッと見た感じでは同じように見えたとしても、下地の部分で丁寧な作業をしていなければ時間がたってその影響が現れることになります。

その他、もしかしたらさまざまな原因があるのかもしれませんが、弊社が今まで見てきた不具合から推測するに
以上の内容が原因の場合がほとんどです。

特に、築10年未満で数平米の範囲で面で浮いているような場合、私の経験上では施工不良を疑っても良いと思います。

ビル、マンションのタイル浮きにお困りの方、タイル施工にご興味のある方はこちら>>