マンションを運営していると、外観がキレイなままなので大きな修繕は必要ない、と感じる方もいるかもしれません。しかし、マンションの寿命を延ばすためにも、定期的に外壁修繕を実施することが必要です。
本記事では、マンションの外壁修繕が必要な理由や修繕のタイミング、費用などをわかりやすく解説します。外壁修繕を検討しているマンションの運営者・管理者の方はぜひ参考にしてください。
■マンション外壁修繕が重要である理由
マンションの外壁は、紫外線や風雨によるダメージを受け続けており、少しずつ劣化します。外壁の劣化が進むとひび割れや剥離などが現れ、外観が悪くなるだけでなく、建物自体の耐久性や耐用年数にも影響を与えます。
そのため、定期的に外壁修繕を行なうことで、外観の改善に加え、建物全体の性能や機能を維持・向上させ、建物の寿命を延ばすことが必要なのです。
建物の外観と機能の両面を回復させることで、建物の資産価値の維持にもつながります。
■外壁を修繕すべきタイミング
マンションの外壁修繕は、足場を組んで行なう大がかりな工事となるため、外壁修繕のみを目的に工事を実施することはほぼありません。12年を目安に行なわれるマンションの大規模修繕工事と一緒に、外壁修繕工事を行なうことが一般的です。
ただし、劣化の度合いによっては、大規模修繕工事を待たずに修繕が必要になるケースもあります。したがって、日常的な点検を行ない、重大な外壁の劣化に迅速に対応できるようにしておくことが大切です。
■マンション外壁修繕のおもな種類
外壁修繕工事では、外壁の劣化状態などを考慮し、さまざまな工事が実施されます。ここでは、マンションの外壁修繕工事で行なわれる、おもな工事の種類や内容を解説します。
◇塗装
外壁塗装工事は、外観の維持や建物の耐久性の向上を目的に行なう工事です。
外壁塗装工事が必要になるタイミングは、塗膜の浮きや剥がれ、傷などが見られたときです。特に、鉄部の塗装が剥がれている場合には、早急に塗装工事を手配しましょう。鉄部は塗膜(塗装が固まってできた膜)によってサビを防いでいるため、剥がれた状態が続くと鉄部の深刻な劣化を招きます。
なお、塗装に使われる塗料には、以下のような種類があります。
- アクリル系塗料
- ウレタン系塗料
- シリコン系塗料
- フッ素系塗料 など
塗料によって耐用年数や機能性などが異なるため、予算や塗り替えの頻度などに合わせて、最適な塗料を選ぶ必要があります。
◇タイル補修
外壁にタイルを用いているマンションでは、タイルの補修工事が必要です。
タイル補修では、はじめに目視チェックや打音検査で、タイルの欠損や浮き、剥離、ひび割れなどを確認します。タイル一枚ごとの現状を確かめることで、状態に合わせた最適な修繕方法を決定するのです。
例えば、軽いひび割れが見られる場合は、樹脂を注入して補修します。大きく破損している場合や剥離の可能性が高い場合などは、対象のタイルのみを張り替えることになるでしょう。
◇コンクリート補修
コンクリートには、経年劣化によってひび割れや腐食が発生します。
ひび割れの補修で用いられる工法は、エポキシ樹脂低圧注入工法やUカット補修工法などです。併せて、コンクリートの中性化防止処理を実施することで、内部の鉄骨や鉄筋の劣化を予防します。
コンクリートは外壁の下地になっていることから、塗装工事やタイルの補修工事を行なう前に補修することもあります。修繕工事の効果を高めるためにも、コンクリートの補修工事は欠かせません。
◇外壁洗浄
外壁に汚れが付着したまま外壁工事を進めると、塗装が剥がれやすくなるなどの施工不良が起きやすくなります。そのため、各修繕を行なう前には必ず外壁の洗浄を実施することが重要です。
外壁洗浄には、「高圧洗浄」と「薬剤洗浄」の2種類があります。
高圧洗浄は、コンクリート修繕や塗装工事の場合に行なう洗浄方法です。強力な水圧で、外壁全体の汚れをしっかりと落とします。
タイル補修の場合は、高圧洗浄に加え薬剤洗浄も行ないます。タイル面に付着したカビや雨のシミなどを落とすことで、建設時のようなキレイな外観に戻すことが可能です。
また、タイルを張り替えたときに付着したモルタルなどを落とすために、修繕後に薬剤洗浄を行なうケースもあります。
■マンションの外壁修繕にかかる費用の目安
マンションの外壁修繕に必要な費用は、マンションの規模などによって異なります。そこで、国土交通省が発表している「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」をもとに、目安となる外壁修繕費用を考えてみましょう。
同調査によると、大規模修繕工事の費用のうち外壁塗装が占める割合は全体の14.8%です。そして、大規模修繕工事の1戸あたりの工事金額は、100万円~125万円の割合が最も多くなっています。
この金額をもとに、1戸あたりの外壁修繕費用を計算すると、約14万8,000円~18万5,000円となります。そのため、10戸のマンションで必要となる外壁修繕費用の目安は、約149万円~186万円と考えられます。
ただし、超高層マンションでの外壁塗装工事は難易度が高く、多くの作業員や資材、時間が必要になるため、算出した目安費用よりも高額になる可能性がある点に留意してください。修繕費用が修繕積立金をオーバーしてしまう可能性も考慮し、計画的に修繕工事を進めましょう。
出典:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」
■マンション外壁修繕(外壁塗装)の手順
マンションの外壁修繕(外壁塗装)工事は、基本的に以下の手順で行なわれます。
- 足場設置
- 高圧洗浄で外壁を洗浄
- 下地処理
- 塗装(下塗り・中塗り・上塗り)
- 足場撤去
まずは、作業を行なうための足場を約1日~2日かけて設置します。さらに、塗料の飛散を防ぐために、塗装箇所以外の養生、飛散防止シートの設置などを行ない、修繕作業の準備完了です。
修繕作業では、まず高圧洗浄によって外壁の汚れを落とし、下地処理を行ないます。下地処理は、外壁のひび割れなどを塞ぐほか、高圧洗浄で落とせなかった古い塗装を取り除くことで、外塗装による外壁の保護効果を高める工程です。
塗装作業は、「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3つの工程で塗料を重ね塗りします。下塗りで外壁と塗料の密着力を高め、中塗りと上塗りで同じ塗料を重ね塗りすることで、強い塗膜を作り出すのです。
すべての作業が終了して塗料が乾いたら、塗装の仕上がりをチェックします。問題がなければ、養生や飛散防止ネット、足場を撤去して外壁修繕工事は完了です。
■マンション外壁修繕のポイント
外壁修繕工事で塗装を行なう場合、足場の騒音や塗料の臭いなどで、マンションの住人や周辺の住人に迷惑をかけるおそれがあります。したがって、あらかじめ工事の日程や内容を伝え、トラブルを回避するための最大限の配慮を心がけましょう。
また、高層マンションの外壁修繕工事は、ゴンドラで足場を吊り下げるといった大規模な対応が必要になる場合もあります。マンションの構造や外観によっては、工期・費用が膨れ上がることもあるため、注意してください。
■まとめ
マンションの外壁修繕は、外観の美しさを取り戻すだけでなく、建物の機能性を維持するためにも必要な工事です。外壁修繕を定期的に行なうことでマンションの資産価値の維持にもつながり、住人にもオーナーにも大きなメリットがあります。
ただし、マンションの外壁修繕には高額な費用がかかり、マンションの規模によっては修繕積立金だけでは対応できないこともあるでしょう。
オフィスチャンプは、足場を設置しない「無足場工法」を採用した修繕工事を実施しています。足場の設置は、修繕工事のなかでも高額な費用が発生する部分であるため、足場をなくすことで外壁修繕のコストを大きく削減できます。
さらに、「足場を利用した空き巣被害が心配」「足場の設置スペースがない」といったお悩みにも対応できます。安心して工事に取り組めるよう徹底サポートしますので、マンションの外壁修繕にお悩みの方は、ぜひオフィスチャンプにご相談ください。