マンションの中と外を区切る外壁は、建物の耐久性に大きく関わっている場所ですから特に重要な部分のひとつです。太陽光や風雨にさらされる厳しい環境の外壁は、とりわけ劣化しやすい場所です。もし、この部分にひび割れや破損があろうものなら、雨が建物の内部に入り込み構造材や木材に大きなダメージを与え、建物の耐久性が落ちてしまいます。それに湿気はカビを繁殖させますから、室内の住環境も悪くなる恐れがあります。そのような状態が長く続けば、そこに住み続けることは難しくなります。
ですから、定期的に外壁修繕をして建物を守ることが、マンションの寿命を延ばすために欠かせません。では、マンションの外壁修繕はどのようにして行われるのかという流れについて見てみましょう。まずは、マンションの周りに足場の設置し養生をします。そしてどこに問題があるのかをくまなく調べていきます。
問題がある箇所を調べる方法は、主に打音調査と目視調査です。打音調査は、外壁をハンマーで叩いたり表面で鋼球を転がしたときに聞こえる音の変化で、タイルが浮きや剥離を知ることができます。耳が頼りですが、かなりの精度で問題を見つけることができます。目視調査では、ひびわれや欠けている部分を探します。外壁の浮きは、打音をするまでもなく見てわかることもあります。
さらに、赤外線カメラを使用することで、見た目にはわからない外壁の様子を調べることもできます。赤外線カメラを使用するときには、離れた場所からの撮影でもかまいません。それで不要な場所に足場を組まなくても済むようになりますから、無駄なコストが削減できます。
調査をした結果、問題のある箇所がわかったら、外壁にこびり着いた汚れを洗い落とした後、外壁の塗り直し、タイルの張り替え、ひび割れているところに補修材を充填するといった工事を行います。
すべての作業が終われば、足場と養生シートは取り除かれ、再びマンションは建てられた当時に近い姿へと戻ります。一般的にこれをおよそ10年くらいの間隔で行えば、耐久性が維持でき長く住み続けることができます。
外壁修繕には多くのメリットがありますが、気をつけなければいけないこともあります。足場と養生シートによって、建物全体が覆われてしまいますから、採光がしにくくなります。また塗料を使ったりタイルやサイディングを交換する作業をしますから、ベランダで洗濯物を干すことはできない日もあります。作業員が足場を使って行き来するので、部屋の中が覗かれることもあるでしょう。このように工事期間中は、かなり不便な生活を強いられてしまいます。