マンションの外壁として近年人気が高まっているのが、外壁タイルです。外壁タイルは高級感がありながらも、耐久性や耐候性に優れており、外壁としての機能性が高い特徴を持っています。
メンテナンスの手間が少ないといわれている外壁タイルですが、経年劣化によりひび割れが発生したり、ズレが生じたりする可能性があります。外壁タイルを安全に、より長く使うためにも、外壁タイルの特徴やメンテナンスの方法を知っておきましょう。
本記事では、外壁タイルの特徴とメリット・デメリット、起こりやすい不具合、不具合を早期に発見する方法などを解説します。外壁タイルのマンションに住んでいる方や、これから住みたいと思っている方はぜひ参考にしてください。
■マンションの外壁タイルとは?
マンションの外壁を覆う素材は、外壁を守り建物の外観を維持する大切な要素です。マンションの外壁には、タイル張りと吹き付け塗装の2種類があり、以前は吹き付け塗装が一般的でしたが、近年はタイル張りが人気になっています。
外壁タイルの人気が高まっている要因には、高級感の高さや機能性の良さなどが挙げられます。タイルの色や形、材質を変えれば、さまざまな雰囲気に合わせられるのも、タイルのメリットだといえるでしょう。
ただし、機能性の高いタイルでも、ひび割れや浮きといったトラブルが発生する可能性はあります。タイルの景観や機能性を確保するには、定期的な点検と修繕が欠かせません。
■マンションの外壁をタイルにするメリット・デメリット
近年人気が高まっている外壁タイルですが、外壁タイルにもメリット・デメリットがあります。
◇外壁をタイルにするメリット
外壁タイルは見た目に高級感があり、素材や形状など種類が豊富です。場所によって使用するタイルを変えるなど、好みの雰囲気を演出することもできます。磁器タイルなら経年によるタイルの色の変化も楽しめるため、長く飽きのこない外壁を作れるでしょう。
また、タイルは機能性にも優れており、高い耐久性・耐火性・耐水性を持っています。メンテナンスはほとんど不要で、塗装材のように頻繁に塗り替える必要もありません。
◇外壁をタイルにするデメリット
外壁タイルは、外壁塗装と比べると初期費用は高くなります。しかし、メンテナンスの手間は外壁塗装よりもかからないため、設置と補修を合わせたトータルコストで見ると、外壁タイルのほうが費用を抑えられることもあります。
また、タイルは施工方法が悪いと落下する可能性がある点に注意が必要です。過去には施工不良のタイルが落下し、通行人に当たって死者が出た事故も発生しています。
近年では施工方法も改善され、タイルが落下する事例は減っていますが、外壁をタイルにする際は、実績があり信頼のおける業者に依頼することが大切です。施工後も定期的にタイルの状況を確認し、仮にタイルにひび割れなどが見られた場合は、早急に修繕するなどの対策をとりましょう。
■マンションの外壁タイルの施工方法
マンションの外壁タイルの施工方法には、乾式工法と湿式工法の2種類があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、特徴を理解しておくと、その後の修繕などで役立つでしょう。
- 湿式工法
湿式工法は下地にモルタルを塗り、外壁タイルを張り付ける工法です。古くから使用されている工法であり、職人が一つひとつ手作業でタイルを張っていくため、仕上がりと耐久性は職人の腕に大きく左右されます。 - 乾式工法
乾式工法は、パネル状のベースサイディングのうえに、接着剤などでタイルを張り付けていく工法です。湿式工法のように仕上がりが職人の腕に左右されず、費用も乾式工法のほうが比較的安く済みます。
■マンションの外壁タイルに起こりやすい不具合
メンテナンスの手間が少ない外壁タイルでも、経年により劣化したり、地震や台風などの自然災害の影響で破損したりする場合もあります。外壁タイルに起こりやすい不具合を知り、不具合を発見したらすぐに修繕しましょう。
◇白華現象(エフロレッセンス)
白華現象は、コンクリートから水分とともにアルカリ成分が溶けだし、表出する現象です。比較的吸水性の高いレンガタイルなどで起きやすい現象であり、放置しておくとコンクリート内部の鉄筋が錆びる原因になります。また、吸水性の低いタイルであっても、タイルの隙間やひびから水が入り、白華現象が起こる場合もあります。
白華現象が発生したら、まず溶けだした成分を取り除き、周辺を清掃しましょう。清掃後は水漏れの原因箇所を特定し、水漏れが起きないよう対策をとってください。
◇浮き・剥がれ
外壁タイルの浮きや剥がれは、湿式方式で起こりやすいトラブルです。コンクリートとタイルをつないでいるモルタルの接着不良により、コンクリートとタイルに隙間が空いてしまうことで発生します。
また、浮きや剥がれは経年劣化や湿度の変化によっても起こりやすくなり、タイルが浮いたまま放置してしまうと、タイルが落下してしまう可能性が高まります。
タイルに浮き・剥がれが見られた場合は、接着剤とアンカーでタイルを固定するアンカーピンニング工法や、タイルを張り替える張り替え工法などで対処可能です。
◇ひび割れ
躯体のコンクリートの収縮・膨張で、タイルにひび割れ(クラック)が発生する場合もあります。ひび割れを防ぐために、タイルの間には伸縮性のあるシーリング材が充填されていますが、シーリング材も経年劣化により伸縮性が損なわれていく点に注意が必要です。
ひび割れを防ぐには、シーリングの定期的な打ち換えが欠かせません。シーリング材の劣化を放置すると、タイルが割れるだけでなく、雨水が躯体に侵入するおそれもあります。
■不具合をいち早く見つけるには?マンションの外壁タイルの検査方法
外壁タイルの不具合に素早く対応するには、日頃の検査が欠かせません。外壁タイルの検査方法として、打診調査と赤外線調査を紹介します。
◇打診調査
打診調査では、ゴンドラや高所作業車などを使って壁に近づき、打診用ハンマーを使って打診音により状況を調査します。音の違いによって内部に空洞がないか、タイルが浮いていないかを一枚ずつ確認するため、正確な調査が行なえることが特徴です。
ただし、打診調査には足場などの設備が必要になるため、調査コストがかかる傾向にあります。無足場工法など、足場を必要としない工法を利用すると、調査にかかる費用を安く抑えられるでしょう。
◇赤外線調査
赤外線調査は、赤外線サーモグラフィーを使って壁面の浮きを確認する方法です。タイルに浮いている部分があると、その部分だけ温度が変化するという特性を利用して、タイルの不具合を発見します。
赤外線調査は打診調査のような足場が必要ないため、調査コストを安く抑えられ、短い期間で調査を済ませられる点がメリットです。しかし、タイルの浮きが大きい場合は不具合を感知できますが、タイルの浮きが小さい場合は不具合を感知できない可能性があります。
なお、近年ではドローンを利用した赤外線調査も実施されているため、赤外線調査の精度も高まっています。国土交通省がドローンなどによる赤外線調査のガイドラインを作成しているため、ドローンによる赤外線調査を実施する際には、参考にするとよいでしょう。
参考:
定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査 ガイドライン|国土交通省
■マンションの外壁タイルには、定期的な点検・修繕が欠かせない
メンテナンスが少ない外壁タイルでも、定期的な点検・修繕は必要です。トラブルの発生を防ぐためにも、計画的に点検・修繕を行ないましょう。
外壁タイルの点検・修繕には足場が必要になるため、大規模修繕などのその他の修繕と併せて点検・修繕するのが一般的です。大規模修繕は12年前後の周期で実施されるため、修繕に向けて予算をしっかりと確保しましょう。
大規模修繕については、以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご確認ください。
関連記事:
マンションの大規模修繕とは?修繕の内容や時期・手順・起こりやすいトラブルと対処法を解説
■まとめ
高級感や機能性の高さから近年人気が高まっている外壁タイルですが、定期的な点検や修繕を行なわないと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。外壁タイルのメリットを活かすためにも、欠かさず点検を行なうようにしましょう。
外壁タイルの点検や修繕は、足場を設置して行なうのが一般的ですが、点検や修繕にかかる費用を安く抑えたい場合は、無足場工法を取り入れている業者に工事を依頼するのがおすすめです。
ビル・マンションの外壁工事を専門に行なうOFFICE CHAMP(オフィスチャンプ)では、外壁タイル工事をはじめとした、さまざまな外壁工事を承っています。足場を使わない無足場工法で、従来の工事費を大幅に削減できるため、工事費用を安く抑えたい方におすすめです。
OFFICE CHAMPの詳しいサービス内容とお問い合わせ方法は、下記リンクからご確認ください。