東京|江東区、マンションの大規模修繕工事の着工から竣工に至るまで

お陰様で仕事の方が忙しく、お客様には大規模修繕工事が正式に決まってから実際に着工するまでに多少お時間の方をいただいているのですが、こちらのお客様(東京都江東区大島)も半年程度待っていただきましてようやく着工することができました。

本記事では、東京都江東区におけるマンションの大規模修繕の一例として着工から竣工までの流れをご紹介していきたいと思います。

◎工事概要
物件名:コリーヌベルテ西大島
住所:東京都江東区西大島
建物種別:マンション
工期:2016年11月1日~2017年2月1日
工事内容:大規模修繕工事(以下詳細)

  • 共通仮設工事
  • 直接仮設工事
  • 下地補修工事(タイル面、塗装面)
  • シーリング工事
  • 外壁塗装工事
  • 鉄部塗装工事
  • 防水工事
  • 長尺シート張り工事
  • その他工事

■共通仮設工事(場内養生)~外壁打診調査・マーキング

マンションの大規模修繕工事における場内養生
場内養生

□場内養生

マンションの大規模修繕工事のようなある程度の規模の現場の場合、着工から竣工まで数か月かかります。その期間中、作業員が建物場内を何度も行き来する為、場内設備などを汚したり傷つけてしまうのを防ぐため、「場内養生」という形で職人通路やエレベーターの中を養生材を用いて養生します。
ちょど引っ越し屋さんが、彼らが通る通路やエレベーター内を養生するのとほぼ同じ要領となります。

このほか、自居住者様に工事情報をお伝えするべく掲示板を設置したり、隣接建物が不具合を起こしている場合は事前にチェックしておき、後々「工事のせいで不具合が起きた」と言われたりしないよう対策を打っておいたりします。
不具合を実際に直していく前にここまでの下準備があってからようやく施工が始まるのです。

着工後の外壁打診・目視調査
タイル面・塗装面調査~マーキング

本工事に入る前、まずは外壁の打診調査から始まります。打診調査は外壁塗装面と外壁タイル面ともに行われ、その打診音より不具合の種別を判定していくこととなります。

外壁に不具合があれば壁面に直接マーキングしていきますが、不具合の種類ごとにマーキングを変え、作業員一人一人が目の前の不具合に対してどういう工法を選択すればよいのか一目でわかるようにしています。

一般的に大規模修繕工事のお見積りでは、建物の不具合の数量及び内容の詳細はお見積り時点で全てを把握することは不可能ですので建物面積に対する係数を乗じて計算されます。
そして、この外壁調査で実際の不具合の数量と内容の詳細を詳しく調べて、お見積りとの数量や内容の違いを調整の上、再お見積りしていくこととなります。

外壁調査とお見積りの関係について詳しく知りたい方はこちら≫

■直接仮設工事(飛散防止養生ネット設置)~外壁補修工事

外壁調査後、ほぼほぼ確実なお見積りとして再お見積りが提出されます。ここで「ほぼほぼ」と書いたのは、稀に打診調査でもわからない不具合が隠れていることもあるからです。ここから金額が変わることはほとんどありませんが、「絶対」とは言い切れないので「ほぼほぼ」という表現にさせていただきました。

再お見積り提出後、お客様のご承認を得てまずは外壁補修工事から始まります。

飛散防止養生ネット設置

飛散防止養生ネット設置
飛散防止養生ネット設置

外壁補修工事に先立ちまして飛散が想定される工事内容の場合は「飛散防止養生ネット」を設置致します。弊社の場合はネットとネットの隙間がなるべく小さくなるよう特注のネットを使用しております。

□タイル工事

タイル張替、エポキシ樹脂注入ピンニング
タイル張り替え、エポキシ樹脂注入ピンニング

上記画像は両方ともタイル工事の写真ではありますが、左の写真はタイルの斫り、右の写真はエポキシ樹脂注入ピンニング工法での穴あけ(穿孔)の写真です。

共にタイルの浮きについて適用している工法ですが、左の場合、タイルの下地浮きの状況である為、エポキシ樹脂注入ピンニング工法が適用可能ではありますが、まとまって浮いているタイルの枚数が少なく、その場合、浮き代(浮いている空間の幅)も少なくなってしまい、エポキシ樹脂が浮き代に潜り込んでいかないことを考慮してより確実なタイル張替えの工法を選択します。

タイルの下地浮きだからと言って何でもかんでもエポキシ樹脂注入ピンニング工法が有効かというとそういうわけでもないのです。

タイルの浮きの種類と工法の選定について詳しく知りたい方はこちら≫

□外壁塗装面下地補修工事

外壁塗装面下地補修工事
外壁塗装面下地補修

上記画像は左上→右上→左下→右下の順番で

  • クラックUカットシーリング工法
  • エポキシ樹脂注入ピンニング工法
  • 爆裂補修
  • 欠損補修

の写真となります。

近年の外壁塗装面の下地は、特にコンクリート型枠の精度の大幅な向上も相まって補修するべき不具合が結構少なくなっていますが、それでも特にひび割れに関してはコンクリートの特性上致し方ない部分もあろうかと思います。
特に本物件の所在地である江東区はもともと海を埋め立てている土地でもありますから地盤は決して良いとは言えないでしょう。それでも思ったほど塗装面の不具合はありませんでした。

外壁塗装面の下地補修について詳しく知りたい方はこちら≫

ブレーカー
ブレーカー

余談ではありますが、工事工程で電動工具を使用する頻度が最も高いのが、外壁補修工程です。電源は共用部の物を使用する場合がほとんどが、過負荷がかかった際に建物共用部の電源が落ちてしまわぬように、コンセントに取り付けるタイプのブレーカーを使用します。
万が一の場合はこちらのブレーカーが作動し、使用している電動工具のみ作動が停止する仕組みになっております。

■シーリング工事

シーリング打ち替え工事
シーリング工事

サッシ廻りや外壁の打ち継ぎ、異素材の取り合いなど高度が異なる素材の取り合いや各所雨仕舞の要として等、結構地味な施工項目ではありますが、それなりに重要な役目を持つのがシーリングです。

シーリング工事の一般的な流れとしては上から順に

  • 既存シーリング撤去
  • 養生
  • プライマー塗布
  • シーリング材打ち込み
  • シーリング材ヘラ慣らし
  • 養生撤去

という形で進みます。一般的に既存のシーリング材を撤去してから再充填というのが正当な工事の在り方でありますが、簡易的な補修の場合は既存のシーリングを撤去せずに上から被せてシーリングを打ち込む「増し打ち」というやり方もあります。マンションの大規模修繕工事において、現況でシーリング材が塗布されていない部分に関しての「増し打ち」という考えは十分にあり得ますが、既存のシーリング材を撤去せずに「増し打ち」というのは原則あり得ません。

タイル工事や塗装面の下地補修工事と同時進行か、若しくはそれらが多少進んできた状況でシーリング工事も進めていきます。斫り工事のような粉塵がたくさん発生する作業が終わってからシーリング材の打ち込み工程に進まないと粉塵がシーリング材に付着しますので注意が必要です。

■塗装工事

外壁塗装面の下地補修工事が終わると外壁塗装の工程へと進みます。

□高圧洗浄

懸垂下降しながらの高圧洗浄
高圧洗浄

外壁補修後、塗装工程の前に施工面の高圧洗浄を行います。こちらの高圧洗浄の工程では下地補修工事の際に発生した粉塵の除去等、下地と塗装塗膜の未着を高めるための大事な工程です。ビルやマンションの壁面など、それなりに施工面積量がある現場では施工単価として100~200円前後ですのでそこをケチってまで安く施工する必要性はないと思われます。

□塗装工事

見上げ面塗装工事
見上げ面塗装

大規模修繕や外壁塗装工事をお考えのお客様は既に知識として蓄えていらっしゃる方もいると思いますが、一般的な外壁塗装工事の工数は「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3工程となります。これは「対候性を確保するために必要な塗装塗膜の厚みを付ける事」と、「ローラー施工による塗りムラをなくし、きれいな仕上げを実現するため」の2つに集約されていると言えます。

一般的な大規模修繕工事における外壁塗装工事項目は、ほとんどがローラーによる施工となります。吹き付け塗装ですと塗料を飛散させないための養生が大変なことになってしまう為です。

□鉄部塗装工事

鉄部塗装工事(錆止め)
鉄部塗装

鉄部塗装については同じ塗装工事項目であっても外壁塗装と比べると異質な存在と言えます。外壁塗装は一般的にある程度まとまった面積を一気に塗って仕上げて行く事が出来ますが鉄部の場合は結構、こまごまと点在していて、色も部位によって違ったりする場合が多いのでそこを加味した上でのお見積りが必要ですし、鉄部の錆具合によって単価も変わってきますのでお見積りする側としては非常に厄介な存在ともいえます。

鉄部の場合はどうしても「腐蝕防止」という避けて通れない事情がありますので、大規模修繕工事の項目としては必須の項目とも言えます。

■外壁タイル面洗浄工事

懸垂下降しながらの外壁タイル面洗浄
高圧洗浄・薬品洗浄

マンションの大規模修繕における外壁タイル面の洗浄については高圧洗浄と薬品洗浄を並行して行うのが一般的です。外壁タイル表面にこびりついた汚れは、ほとんどが排気ガスなどが科学的に結合してこびりついている「有機的汚染」ですので化学薬品を使用してこすり洗いして落としていきます。特に見上げの角のタイルは汚染度が高い場合が多く、その部分の洗浄にかなりの時間を要する場合もあります。

では「高圧洗浄は何のために行うのか」ということになりますが、これは「外壁タイル目地の清掃」を主な目的として行います。外壁タイル面目地の汚れについては、ほとんどの場合、土や埃とうの無機物的な汚れですので高圧洗浄機を用いて強い圧を掛けて除去することが可能です。
タイル目地が黒ずんでいるとタイル表面の汚れを落としてもなんとなくうっすら汚れているような感じが拭いえませんのでタイル目地の汚れを落として行く事は非常に大事な工程です。

■防水工事

屋上防水メンテナンスと外階段ウレタン防水
屋上トップコート、外階段防水工事

今回防水で手を入れたのは基本的には外階段のみとなりました。屋上及び塔屋屋上は現況が塩ビシート防水であり、塩ビシート防水自体の耐用年数に鑑みても今すぐ防水を行う必要がないと判断しお客様とご相談の上防水の延命を図るべく保護塗装を行うのみとなりました。

■長尺シート張り工事

長尺シート張り工事
長尺シート張り

ある意味、今回の目玉工事はこの長尺シート張り工事でした。元々のバルコニーの床面は一般的なコンクリート肌むき出しの床面でしたが、オーナー様の意向で「少しでも高級感もある仕上げを」ということで塩ビ製の長尺シートを床面に貼るご提案となりました。側溝と立上にはウレタン防水を施してある為防水性能も完璧です。

近年、分譲マンションの共用通路やバルコニーの床面での採用が多くみられる塩ビ製の長尺シートですが、単純にウレタン防水を行うよりも若干費用は掛かりますがやはり高級感が違います!

■まとめ

江東区でのマンションの大規模修繕工事の一連の流れを解説させていただきました。こちらの現場のメインはタイル工事でしたがお客様的にはバルコニーの床面が長尺シートになり高級感が増した事が大きな喜びになっているようです。

有限会社オフィスチャンプでは、足場を掛けずに経費を抑えながら割安に大規模修繕を行うことをメインの業務として行っております。足場を掛けない分安いだけでなく、現場の状況に合った適切なご提案、より丁寧な施工を行うべく日々精進しております。

「予算はなるべく抑えたいのだがなるべく高品質な工事を行いたい」「建物の状況に応じた適切な提案をしてもらいたい」など大規模修繕についてご不明点など御座いましたら是非ともお気軽にお声がけいただければと思います。

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