ビル・マンション大規模修繕工事における外壁調査工事の重要性とは?

ビルやマンションの大規模修繕を行う上での一般的な流れとして、お客様からのお見積り依頼~現地調査~お見積り作製~工事依頼~打ち合わせ・説明会~施工となることが多いかと思います。
現地調査の際に打診棒と呼ばれる検査用の伸縮式の金属棒を用いて外壁表面の一部を軽くたたく、目視で不具合の程度を確かめる等しながらお見積りに反映させていきます。

そうやって作成したお見積りの下地補修項目にはほとんどの場合、「実数清算」や「調査補修後増減計算」などの注釈が付きます。そういったお見積りの中身の説明からなぜ外壁調査工事が重要なのかを紐解いていきたいと思います。

ビル・マンションの大規模修繕のお見積りの下地補修項目はなぜ実数清算となっていることが多いのか?

大規模修繕における外壁調査前後のお見積り比較①

上のお見積り比較の画像を見ていただきたいと思います。左側のお見積りが外壁調査前の想定のお見積りで右側が外壁調査後のお見積りとなります。追加工事やタイルの焼き増しもあった為、800万円強の増額分全てが外壁の不具合ではないものの当初想定よりもかなり金額が増えてしまっていることは事実です。

ここまでお見積りが変わるとお客様のも「最初のお見積りは何だったのか?」という風に思われるかもしれませんが大規模修繕工事ではよくある話ではあります。それでは何がどう変わったのでしょうか?

大規模修繕における外壁調査前後のお見積り比較②
お見積り比較2

外壁調査後に最も変化があった数値はタイルの張替でした。もともとの張替想定枚数は1688枚でしたが外壁調査の結果、7911枚張り替える必要があることが判明したのです。実に6223枚も入り替え枚数が増えたことになるのです。
そしてこの張替枚数の数値はタイルの浮きと欠損のみです。ひび割れ(クラック)タイルの張替もあるのですがクラックタイル補修項目に含まれております。ひび割れの長さもかなり増えたので実際にはもっとタイルの張替枚数が増えたことになるのです。

なぜこれほどまでに増減するのか?

弊社では、基本的に念入りに現地調査を行っておりますが、現地調査の時間ですべての面を打診することは不可能です。音も出ますので現地調査の際、予備打診をする時間や場所は限られてきます。タイルの浮きやひび割れは固まった場所に発生していることも多い為、現地調査の際の簡単な打診程度ではタイルの不具合枚数を想定することは不可能に近いのです。

「赤外線での調査があるではないか」という方もいらっしゃいますが、費用もかかる上、これがなかなかどうしてあてにならないもので( 平成27年の工事ですので今では赤外線調査のレベルも上がっているかもしれません。)以前に行った工事のお見積りで赤外線の調査でお見積りの作成を求められ(タイルの補修枚数は調査会社が算出しました)、お見積り作製~受注~打診調査の結果約800万円の減額となりました。(下画像参照)

大規模修繕における外壁調査前後のお見積り比較③

※赤外線調査を参照にお見積りしたもの(左)と実際の打診調査でのお見積り(右)比較

◇外壁調査においてベストな方法は?
ビル・マンションの大規模修繕工事では外壁の不具合の内容や位置、不具合の程度などを細かく見ていく必要があります。調査工事だけの為に足場を掛けるのは非合理の極みでもあります。赤外線で行う外壁調査は足場を必要としないので効率としては問題ないかもしれませんが、高層階のタイルのひび割れや細かい欠損は発見するのは難しいところです。

大規模修繕工事の工事資料としてそのまま使用できるレベルの調査工事を行うためには弊社のような足場を掛けずにロープで懸垂下降しながら調査する無足場での作業が最も適している工法ではないでしょうか。

■大規模修繕ではどのレベルの外壁調査が必要なのか?

これはよくある事なのですが、外壁の調査専門会社が調査した資料を基に見積りしてほしいという依頼があります。基本的にはお見積りを受けるのですが、「他社さんの調査結果ですので後で弊社がお見積りした場合に金額が大幅に変わる場合がありますよ」というようにしています。

タイル面の調査についてはタイルの浮き方の種類の判別が必要だったり、ひび割れの幅によって分けたりするのですが外壁調査専門の会社ですとそこまで細かく分けていない場合が多く、ともすると不具合タイルの枚数や場所が大幅に違っている場合が多々あるからです。

大規模修繕における外壁調査前後のお見積り比較④
※他調査会社数量によるお見積り(左)と弊社打診調査によるお見積り(右)

こちらは先ほど言った外壁調査会社による結果を参照にお見積りを作成後工事を受注、弊社にて再お見積りを行った結果です。

エポキシ樹脂注入穿孔数に関して1652穴プラス、タイル張替について643枚プラス、更にエポキシ樹脂注入工事では収まらないほど孕んでいるタイル面が11.1㎡ほどありそれも張りなおす必要があることが分かりました。

ここ迄違うと最初の調査は全く意味がないものとなりますが、外壁の調査は作業員によりかなりの当たり外れがあるのは事実です。レベルの低い打診調査結果をもとに工事を進めると当初予算を大幅にオーバーしてしまったり、予算の帳尻合わせの為に必要な工事を省く、若しくは簡略化するなど大規模修繕工事レベルにも影響してしまうこともありますので注意が必要です。

■実際にどこまで細かく調べれば大規模修繕工事に意味を成す調査になるのか?

大規模修繕に使用する資料としての外壁調査では大まかに、タイルの浮き、ひび割れ、欠損のチェックという事になります。

タイルの浮きについては2種類あり、
◎タイルと躯体を接着するための貼り付けモルタルとタイル自体が剥離している「陶片浮き」
◎タイルの貼り付けモルタルと躯体が剥離している「下地浮き」
に分かれ、と陶片浮きについては原則タイルの張替が適用されます。下地浮きについては基本的にエポキシ樹脂注入ピンニング工法が適用されます。
タイルの浮きについては基本的に打診調査で分かりますが、陶片浮きと下地浮きの判定はその打診音での判定となります。打診音による判定はやはり経験がものをいう世界です。
タイルの浮き方の種類とその補修方法について詳しく知りたい方はこちら≫

ひび割れについてはクラックスケールを使用して0.3mm以上のヒビと0.3mm未満のヒビに分けます。これは0.3mm以上のひび割れについては雨水の侵入が懸念される為、タイルを斫り(剥がし)下地のひび割れを処理してからタイルを張り戻しします。0.3mm未満のヒビについては一般的に雨水の侵入が無いといわれる為、タイルを張り替えるか予算状況によっては手を付けないこともあります。
新規にタイルを焼かないで近似品を使用する場合、1~2階など張り替えたタイルが目立ってしまうので0.3mm未満のヒビについてはあえて張り替えないこともあります。

欠損についてはは目視で判定できますが場合により躯体の鉄筋が錆びて膨らみ表面のタイルが欠損を起こしている場合がありますのでその場合はいわゆる「爆裂」の判定となります。

その他、コンクリートの灰汁が雨水の侵入により表面に押し出されて白く固まって意匠性を低下させてしまうエフロレッセンスなどがあります。

大規模修繕工事としての調査ではそのあたりをすべて網羅し調査を行う必要があります。また、大規模修繕着工直後に調査を行う場合はお見積り時の現地調査の際に目視で調査することのできなかった部分の判定も同時進行で行っていきます。

■まとめ

大規模修繕工事におけるお見積りで下地補修項目が増減計算になることが多いのは目視でわからない外壁の不具合が現地調査では特定することが難しく、特にタイル工事では実際の想定よりも激しく不具合数量が増減が発生する為、調査補修後増減計算となることが多いのです。

また大規模修繕工事着工前に調査を行う場合、足場を掛けて調査を行い調査後足場を解体、再び施工時に足場を掛けるとなると費用的なロスが大きい為現実的ではなく、赤外線調査では大規模修繕工事で使用できるレベルの細かい調査が不可能である為大規模修繕工事の調査としては使用しにくい調査となります。

足場を使用せず産業用ロープで懸垂下降する工法=「無足場工法」「ロープブランコ」などと呼ばれる工法では基本的に仮設足場を使用しない為、直接仮設工事を省くことができ費用面でかなり有利となり大規模主膳に使用するための調査工事の手段としては最適と思えます。

我々OFFICE CHAMP(オフィスチャンプ)では、その足場を使用しない工法で調査~外壁修繕工事まで一気通貫で行え、原則足場を必要としない為ビルやマンションの外壁工事を経費を抑えて割安で施工できるメリットがあります。

「費用を抑えて大規模大規模修繕工事を行いたい」「費用を抑えてもより質の高い大規模修繕を行いたい」という方はオフィスチャンプにお気軽にご相談ください。

OFFICE CHAMPトップページはこちら

大規模修繕工事における外壁調査工事をご希望の方はこちら>>