十数年に一度、マンション全体の修繕を目的に行なわれるのが、マンションの大規模修繕です。工事規模が大きく、費用も高額になることから、大規模修繕ではトラブルが発生しやすい傾向にあります。
大規模修繕で起こりやすいトラブルと、それを未然に防ぐためにとるべき行動を知って、トラブルの発生を防ぎましょう。
本記事ではマンションの大規模修繕で発生しやすいトラブルを、4つのパターンに分けて解説します。大規模修繕の準備を進めている方はぜひ参考にしてください。
■マンションの大規模修繕のトラブル事例(1)居住者とのトラブル
はじめに、マンション居住者とのトラブル事例と、トラブルを未然に防ぐ方法を解説します。
◇トラブルの概要
マンション居住者とのトラブルでよくあるのが、修繕工事にともなう騒音やにおい、ほこりなどによるトラブルです。
大規模修繕ではほとんどの場合、マンション全体を囲うように足場を組み、数ヵ月にわたって修繕を行ないます。修繕工事中はどうしても、足場の組立や利用、解体による騒音やほこり、塗料のにおいなどが発生してしまううえ、その状況が長く続くため、トラブルが起こりやすくなります。
また、作業員が足場を使ってベランダ近くを移動することで、プライバシーが侵害されると不安を感じる方もいます。
大規模修繕では、共用部やベランダなどに置かれた私物を撤去するといった、居住者の協力も欠かせません。しかし、居住者のなかに、修繕工事に対して非協力的だったり、工事を妨害しようとしたりする方がいることもあります。
さらに、大規模修繕に欠かせない修繕費もトラブルの原因になりえるでしょう。修繕にかかる費用は、毎月一定額を居住者全員で積み立ててまかなうのが一般的です。しかし、想定より修繕費が増えてしまい、修繕積立金が足りなくなった結果、居住者から一時金を徴収するケースもあります。
このような変則的な徴収は居住者からの理解を得にくく、トラブルに発展しやすいといえます。
◇このようなトラブルを防ぐには?
居住者とのトラブルを防ぐために重要なのは、日常的なコミュニケーションと、徹底的な情報提供です。
工事の前には説明会を開催し、どのような手順で、どこをどれくらいの期間工事するのか、作業員はどこに立ち入るのかなどの情報を提供します。説明会は複数回開催し、できる限り多くの居住者が参加できるよう、日時を考慮しましょう。
特に、ベランダや駐車場、エアコンなどの使用制限といった、居住者の生活環境に直接関わる情報についてはより徹底した周知が必要です。
また、修繕積立金が不足して一時金を徴収しようとすると、トラブルにつながりやすくなります。一時金徴収を検討する前に、工事内容を見直して修繕費を削減したり、修繕時期をずらして修繕積立金がたまるのを待ったりしてみましょう。その他、金融機関から融資を受ける方法もあります。
修繕にかかる費用は高額であるため、工事費用や徴収方法を明確にし、居住者の理解を得られるよう透明性を大切にして周知しましょう。
■マンションの大規模修繕のトラブル事例(2)施工会社とのトラブル
居住者だけでなく、修繕の施工会社とトラブルになる場合もあります。本章では、施工会社とのトラブルの概要と対処法を確認しておきましょう。
◇トラブルの概要
施工会社とのトラブルには、工事中に起こるものと工事後に起こるものがあります。
発生しやすいトラブルは、工事中なら施工ミスや施工遅延など、工事後なら修繕した箇所の施工不良やコンサルタントによる過剰請求などです。
工事中に施工のミスや遅延が発生しても、居住者はすぐに判別できません。トラブルが発生していないかどうか、常に確認する必要があるでしょう。
◇このようなトラブルを防ぐには?
施工会社とのトラブルを防ぐには、なによりも会社選びが重要です。
施工実績は十分か、瑕疵保険へ加入しているか、居住者へのケアは行なうか、セキュリティは万全かなど、さまざまな条件から総合的に判断して施工会社を決定しましょう。施工会社の特徴を把握するため、見積もりの依頼や修繕の相談は必ず複数社に行ない、慎重に比較検討することが大切です。
また、依頼後もマンションの管理会社やコンサルタントにすべて任せず、居住者自らが適宜コミュニケーションをとりながら、問題なく工事が進んでいるかを確認しましょう。
■マンションの大規模修繕のトラブル事例(3)近隣住民とのトラブル
大規模修繕では、マンションの近隣住民にも少なからず影響が出ます。ここでは、近隣住民との間に起こりやすいトラブルと、その対処法を見ていきましょう。
◇トラブルの概要
マンションの居住者同様、近隣住民も修繕工事にともなう騒音やにおい、ほこりなどに悩まされるケースがあります。具体的には、工事車両の出入りが多かったり、足場の設置によって通路が狭くなったりして、生活が不便になる場合もあるでしょう。
マンションの居住者であれば、修繕は自身の生活環境の維持に欠かせないため、ある程度の問題は我慢できるかもしれません。
しかし、近隣住民からすると、自身とは関係ない修繕のせいで生活に悪影響が出てしまうのは、単純に迷惑だといわざるを得ないでしょう。近隣住民に配慮して修繕を進めなければ、後々大きなトラブルに発展するおそれもあります。
◇このようなトラブルを防ぐには?
近隣住民とのトラブルを防ぐには、近隣住民とコミュニケーションをとり、工事への理解と協力を得られるよう努力することが大切です。
工事の内容や期間をあらかじめ周知するため、1軒ずつ挨拶に回るか、挨拶文を配布しておきましょう。マンションの居住者だけでなく近隣住民にも、工事前、工事中、工事後にこまめな連絡・報告を行なうのが理想です。
対策をとったうえでトラブルが発生してしまった場合は、施工会社や管理会社と協力しながら素早く真摯に対応しましょう。「知らない」「関係ない」といった態度をとったり、対応が遅くなったりすると、さらなるトラブルに発展しかねないため注意してください。
■マンションの大規模修繕のトラブル事例(4)その他のトラブル
マンションの大規模修繕で起こりやすいトラブルは、居住者、施工会社、近隣住民とのトラブル以外にもあります。
まず、セキュリティ面のトラブルです。修繕工事中は多くの作業員が出入りするため、どうしてもセキュリティ面でのトラブルが発生しやすくなります。
建物内に部外者が侵入する場合もあれば、設置した足場を使用して空き巣の被害が発生することもあるでしょう。セキュリティ面の不安をなくすため、監視カメラを設置したり、作業員を証明する腕章の着用を義務付けたりするなど、防犯対策を検討してください。
また、工事に利用する車両や資材の置き場所が原因で、トラブルが発生する可能性もあります。特に、マンションの駐車場を工事に係る車両や資材の置き場所として使用し、工事期間中は居住者の車を代替駐車場へ移すケースは注意が必要です。
代替駐車場のセキュリティ状況によっては、車上荒らしや車へのいたずらなど、車両トラブルが発生するかもしれません。代替駐車場への移動が必要な場合は、立地やセキュリティ設備をチェックしておきましょう。
■まとめ
マンションの大規模修繕では、工事の騒音や費用などの問題から、居住者や施工会社、近隣住民とトラブルになってしまうことがあります。
無用なトラブルを発生させないためには、普段からのコミュニケーションや、情報の周知徹底、修繕費用の計画的な積み立てなどが欠かせません。
特に、修繕に係る費用は、居住者とのトラブルのもとになりやすい傾向にあります。修繕積立金が足りない場合は、一時金の徴収だけでなく、工事の内容や時期を見直したり、金融機関からの融資を検討したりして対応しましょう。
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