大規模修繕では補助金を上手に活用!予算不足を回避する方法を解説

大規模修繕工事中のマンション

マンションを大規模修繕するには、莫大な予算を確保しなければなりません。予算確保のための準備には、国や自治体が行なっている補助金制度を活用したり、修繕積立計画を見直して積立金の徴収方法を変更したりといった方法が考えられます。

この記事では、補助金制度の内容や費用不足を回避する方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

■大規模修繕に活用できる補助金制度とは?

建物の経年劣化を未然に防ぎ、マンションの入居者に快適で安全な居住環境を提供するためには、定期的な点検と大規模修繕が必須です。

一般的なマンションの大規模修繕は、12年周期で行なわれます。マンションの管理組合は、次に行なう予定の大規模修繕に向けて、修繕積立金を積み立てなければなりません。しかし、実際に大規模修繕を実施するにあたって積立金が足りず、予算不足に悩むオーナーや管理組合員は非常に多くいます。

多額の費用がかかる大規模修繕に向けて予算を確保するためには、国や自治体が実施している補助金制度の活用がおすすめです。補助対象や補助率、補助額、申込資格などは、制度によって異なります。

すべての大規模修繕が補助対象になるわけではないため、どのような大規模修繕が必要になるかを踏まえたうえで、各補助金制度の特徴を確認しましょう。

大規模修繕の補助金制度の具体例

大規模修繕の補助金制度の内容は、国や地方自治体によって異なります。ここでは、実際に募集されている国や自治体の補助金制度の具体例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

◇【国土交通省】長期優良住宅化リフォーム推進事業

国土交通省による「長期優良住宅化リフォーム推進事業」では、既存の戸建て住宅や共同住宅の性能を向上させるようなリフォームを行なう場合に、補助金が交付されます。

<補助対象>

  • 構造躯体などの劣化対策
  • 省エネルギー対策
  • バリアフリー対策
  • 高齢者への対策
  • 三世代同居対策
  • 子育てしやすい環境整備
  • 自然災害対策 など

<補助率・補助額>

  • 補助率:補助対象になる工事費の3分の1
  • 補助限度額:原則、1戸当たり100万円

<申込資格>
以下の3つを満たすリフォーム工事の施工業者か買取再販事業者が、申し込み可能です。

  • リフォーム工事前にインスペクションを実施すること
  • リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たすこと
  • リフォーム履歴と維持保全計画を作成すること

◇【東京都】マンション改良工事助成制度

「マンション改良工事助成制度」は、東京都が実施している制度です。東京都内に所在する耐火構造の分譲マンションの共有部分をリフォームする際に、独立行政法人住宅金融支援機構から融資を受ける場合、その融資の利子に対して助成金が適用されます。

<補助対象>
以下のいずれか最も低い額を対象に、金利が1%(1%未満の場合は、当該金利)低利になるよう 、利子が補給されます。

  • リフォーム融資の予約金額
  • 融資対象工事費
  • 工事費から補助金を差し引いた金額

<補助率・補助額>
年間の利子補給額は、以下のとおりです。

  • [融資金利の1月あたり元利均等償還相当額-(融資金利-1%)の1月あたり元利均等償還相当額]×12

<申込資格>
おもな申込資格は、以下のとおりです。

  • 東京都内に所在する耐火構造の分譲マンションの管理組合であること
  • 独立行政法人住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を受けること
  • 公益財団法人マンション管理センターの債務保証を受けること など

◇【東京都千代田区】劣化診断調査費助成

「劣化診断調査費助成」は、東京都千代田区におけるマンションの修繕工事に要する費用を補助する事業です。

<補助対象>

  • 共用部分の防水・壁面・鉄部の塗装・給排水設備・電気設備に関する調査委託費用(※1)
  • 長期修繕計画の作成や見直しにかかる費用(※2)
  • 分譲マンションの簡易耐震診断にかかる費用(※3)

<補助率・補助額>

  • 補助率:補助対象になる費用の2分の1
  • 補助限度額:※1は50万円、※2は80万円、※3は20万円

<申込資格>

  • 千代田区内において建築後8年以上経過し、現在住宅として使用している分譲マンションの管理組合、あるいは賃貸マンションの所有者

【神奈川県横浜市】マンション再生支援事業

「マンション再生支援事業」では、神奈川県横浜市内に所在するマンションの再生活動に対して補助金が交付されます。

<補助対象>
以下のような検討や取り組みが、補助対象です。

  • マンションの大規模改修に関する検討
  • マンションの建て替えに関する検討
  • 長期管理計画に関する検討
  • 住環境整備に関する検討・取り組み
  • コミュニティ形成に関する検討・取り組み
  • 省エネルギー化に関する検討(※4)

<補助率・補助額>

  • 補助率:補助対象にかかる費用の2分の1以内
  • 補助限度額:原則30万円(※4については15万円)

<申込資格>

以下の2つを満たすマンションの管理組合が、申し込み可能です。

  • 再生活動を行なうことと経費について議決していること
  • 横浜市マンション登録制度へ登録すること

■大規模修繕の費用不足を回避する方法

最後に、補助金制度の活用と併せて行ないたい、大規模修繕の費用不足を回避する方法を解説します。

◇修繕積立計画を見直す
マンションの大規模修繕の費用不足を回避するには、修繕積立計画を見直すことが重要です。

一般的に、新築マンションの販売が開始された当初は、購入者が修繕積立計画に関する十分な知識を持っているとは限らず、修繕積立金も非常に低く設定されているケースが多く見られます。なぜなら、本来修繕積立計画はマンションの管理組合が立てるべきであるところ、最初の修繕積立金は売り主の都合で決められるからです。部屋を売り切るために、あえて修繕積立金を低く設定することも珍しくありません。

こうした場合、構造部分や給排水設備、電気設備などが経年劣化して大規模修繕が必要になったとしても、積立計画が適切に見直されていなければ、修繕積立金が不足してしまいます。

このような事態を解決するためには、一度修繕積立計画を見直しましょう。必要な修繕の内容はマンションによって異なるので、まずは建物の状態を正確に把握するところから始めます。技術開発の変化も踏まえて、工事の内容や周期に関する計画を見直すことが大切です。

そして、見直した計画に基づき、修繕積立金の過不足を確認します。そのうえで、入居者には丁寧に事情を説明し、総会などで承認を得て、金額を設定し直しましょう。

◇修繕積立金の徴収方法を見直す
修繕積立金の徴収方法を見直すことも、大規模修繕の費用不足を回避するために有効です。費用不足を回避するためには、新築マンションに採用されることの多い「段階増額方式」から「均等積立方式」に切り替えるという方法があります。

・段階増額方式
段階的に、修繕積立金の金額を増額していく方法です。具体的には、マンションの販売当初は修繕積立金を低めに設定しておき、一定期間ごとに値上げをしていきます。

ただし、段階的な修繕積立金の増額には、入居者の合意が必要です。合意に至らず増額を先延ばしにして、タイミングを逃してしまうと、積立金不足に陥ってしまう可能性もあるでしょう。さらに、マンションの経年劣化にともない入居者も高齢化して、年々増額される修繕積立金を支払えなくなることも「段階増額方式」のリスクです。

・均等積立方式
長期的な修繕計画に基づいて、将来的に必要となる修繕費用をあらかじめ均等な金額で徴収する方法です。修繕積立金を増額させる必要がなく、「段階増額方式」で生じるようなリスクも小さいのが特徴です。

マンションの築年数が浅いうちは、修繕積立金が比較的割高になってしまいますが、あとから大幅に値上げされることがないため、入居者も長期的な生活設計を立てやすいでしょう。近年では、国土交通省も「均等積立方式」を推奨しています。

◇アフターサービス保証を最大限活用する
大規模修繕の費用不足を回避するためには、「アフターサービス保証」も最大限活用してみてください。「アフターサービス保証」とは、マンションの売り主(施工会社など)が、一部の不具合を無償で補修するサービスのことです。

一般的な分譲マンションには、以下のようなアフターサービス保証が付いています。

  • コンクリート躯体の亀裂や破損:10年
  • 屋内への雨水の浸水:10年
  • モルタル面やタイル張の亀裂やはがれ:2年
  • 屋上やバルコニーなどの排水不良:2年 など

アフターサービス保証を活用できれば、マンションの大規模修繕の費用を抑えられるでしょう。ただし、無料で補修してもらうためには、定期的にマンションの状況を調査して、保証期間内に対応することが重要です。

まとめ

マンションの大規模修繕における予算不足に陥らないためには、国や自治体による補助金制度を最大限活用したり、修繕積立計画を見直したりするのが有効です。国土交通省や自治体などによって多くの補助金制度が用意されているため、一度確認してみてはいかがでしょうか。

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