墨田区の観光スポットと言えば一番最初に思い出されるのが高さ634mを誇る東京スカイツリーでしょう。毎年数百万人が来場する世界的な観光スポットとも言えます。そのほかにも隅田川の花火大会や江戸東京博物館、両国国技館での大相撲など、江戸時代からの伝統・文化が残る中にも最新のカルチャーを受け入れており、観光名所として有名な街であります。
他にも建築物の観点からいえば、アサヒビール本社ビルが有名です。ビル最上部の特徴的なデザインはジョッキからあふれるビールの泡をイメージしているそうで、本社ビル隣のスーパードライホールは屋上の特徴的なオブジェが話題となりました。
この記事でご紹介する墨田区の大規模修繕工事の案件は両国駅のすぐ近くに位置しており駅までのアクセスも抜群のマンションであります。高さ13階建てのマンションをロープブランコ工法によりきっちり仕上げていく状況をご覧ください。
◎工事概要
物件名:エスコート両国
住所:東京都墨田区両国2-17-18
建物種別:地上13階建共同住宅(マンション)
造り:鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)
工期:2018年1月9日~2018年4月30日
工事内容:大規模修繕工事(以下詳細)
- 共通仮設工事
- 直接仮設工事
- 外壁補修工事(タイル面及び塗装面~調査補修後増減計算方式)
- シーリング工事
- 外壁塗装工事
- 鉄部塗装工事
- 防水工事
- 長尺シート張替工事
- その他工事
■仮設工事
仮設工事は大きく分けて「共通仮設工事」と「直接仮設工事」の2つがあります。大規模修繕工事において「共通仮設工事」とは、建物を修繕する事に直接的に関係はしていないが、外壁修繕工事を行うに当たって必要となる費用のことを指します。工事現場事務所や工事用電力や給排水設備等仮設トイレなどがこれに該当するものとなります。「直接仮設工事」とは外壁修繕工事を行うために直接必要となる足場やゴンドラ仮設の事を指します。
単純に仮設工事とは、工事に直接関係する足場や養生ネット、間接的に必要となる仮設電気、仮設水道、仮設トイレ、清掃片付けなど、完成後に形として残らない工事の事を指すと考えて下さい。
弊社工法は「足場を掛けない外壁工事」という工法である為、「仮設工事」という概念が無いとお考えの方がいらっしゃると思いますが、弊社のようなロープで懸垂下降しながら施工する 無足場工法の場合でも仮設工事は必須となります。
□飛散防止養生ネット
塗装やタイルを剥がしたりするような材料等の飛散が想定されるような作業を行う場合、画像のように施工面に対して前面にメッシュシートを掛けて飛散防止を措置を行います。弊社のメッシュシートは継ぎ目から材料漏れが無いよう特注で作成しております。高さ13階建てのマンションになると、メッシュシート自体の重量だけでもかなりのものになりますのでそれを固定する仮設も特注で専用のものを作成し使っております。
□水平養生
施工する面の1階に人や車の往来がある場合、万が一、作業道具や材料を落としてしまった場合の為に1階まで物が落ちないよう、コンパネ等を水平に並べて落下防止養生とします。当然上から作業員も降りてくる為、下に人や車が通過している場合の作業員の一時着地場にもなっています。
■外壁補修工事
多くのマンションの外壁がほぼほぼタイル面と塗装面で構成されていると思いますが、この墨田区のマンションの外壁も例に漏れずタイル面と塗装面で構成されております。タイル面・塗装面共に打診調査を行い、その打診調査の結果に基づいて不具合箇所の外壁補修を行う事となります。
□外壁タイル面補修工事
外壁タイル面の補修のやり方には幾つか種類があります。不具合の内容によって補修する工法も変わってきます。
- タイル下地浮き⇒エポキシ樹脂注入ピンニング工法
- タイル陶片浮き⇒タイル張替工法
- タイル欠損、ひび割れ(クラック)⇒タイル張替工法
- 外壁タイル汚れ⇒高圧洗浄、薬品洗浄併用
大きく分けると上記工法が外壁タイル面の主な補修内容となります。この墨田区の現場で行われた実際の写真を基に実際の施工をご覧いただきたいと思います。
外壁打診調査によりタイルの下地浮きがあると判定された場合には浮き部分に一定間隔(一般的には1㎡あたり25か所程度)で穴を開けエポキシと呼ばれる接着剤を注入していきます。エポキシ樹脂注入~硬化後、パテ状エポキシ等を使用して穴を埋めていきます。
穴あけ(穿孔)には振動ドリルを使用しますが、場合により無振動ドリルを使用する場合もあります。一般的には無振動ドリルを使用するの事がほとんどですが、弊社では無振動ドリル使用することも多く、無振動ドリルはドリルの振動を利用せず回転のみで穿孔していくため、内部のモルタル等を破壊せずきれいな穴を開けることが出来ます。その為エポキシ樹脂が浮き代に入りやすい利点があります。
タイルが浮いている場合、基本的にはコストのかからないエポキシ樹脂注入工法を適用しますが、陶片浮きや下地浮きで1箇所の浮き枚数が少ない場合、タイルが孕んで浮いていてエポキシ樹脂注入工法の適用が不可の場合はタイルの張り替えの適用となります。
タイルが浮いている部分と浮いていない部分の境目にディスクグラインダーで切れ目を入れて縁を切ります。張り替える必要があるタイルをハンマーやタガネ等を用いて剥がしますが上画像のようにタイル斫り機のような電動工具を使用する場合もあります。タイルをただ剥がすだけでなく、下地に残っているタイル貼り付けモルタルまできっちり剥がす必要があります。
タイル斫り後、タイルを張りタイル目地を入れてタイル張替の完成です。
タイルの欠損やひび割れ(クラック)でも張り替える方法は基本的には同じですが、ひび割れの場合、タイルの下地にもひびが入っている場合があります。その場合、Uカットシーリング工法や低圧樹脂注入工法で下地のヒビも直してからタイルを張り替えることとなります。
※タイルの浮き方の違い(下地浮きと陶片浮き)と浮き方による補修方法について詳しく知りたい方はについてはこちら≫を参照にしてください。
外壁タイル洗浄では高圧洗浄と薬品洗を併用して行います。高圧洗浄ではタイル目地の汚れを落とし、薬品洗浄ではタイル表面の水垢やエフロレッセンスを落としていきます。こちらの墨田区の現場では外壁タイルはそれほど汚れていた感じはないのですが、実際洗浄すると、タイル表面の黒ずみが落ちタイル目地のコケやほこりが落ちたことですごく明るい感じになりました。
□外壁塗装面補修工事
タイル面と同様に外壁塗装の前に外壁塗装面の下地補修工事も必要となり、それにも幾つかの項目があります。不具合の内容による補修工事の工法も分けてみましょう。
- 下地補修モルタル浮き⇒エポキシ樹脂注入ピンニング工法
- 幅が広めのひび割れ⇒Uカットシーリング工法
- 幅が狭めのひび割れ⇒ポリマーセメントフィラー摺込み
- 爆裂・欠損⇒エポキシ樹脂モルタル成型
- 脆弱塗膜撤去補修⇒カチオン段差修正
- 補修箇所肌合わせ⇒微弾性フィラーパターン付け
上記が外壁塗装面における主な下地補修内容になるかと思われます。外壁塗装面においてもこの現場の実際の写真で施工をご覧いただければと思います。
築年数が10数年程度のマンションですと躯体を立ち上げる際の型枠の精度が高くモルタルで補修する部分はそれほど多くはないのですが、それでも部分的にモルタル補修をしている部分があり、それが経年でコンクリートから剥離してきます。
タイル面と同様にモルタルが浮いている部分は浮きを止める補修、すなわちエポキシ樹脂注入ピンニング工法を適用して浮きを食い止めます。
Uカットシーリング工法は幅0.3mm以上の比較的幅が広めのひび割れ(クラック)に対して適用される工法です。この工法は幅広のひび割れを確実に補修することが出来る事が利点ではありますが、反面、補修跡が残ってしまう為に弊社としてはあまり用いたくない工法でもあります。今現在は補修跡が目立たない他の工法もあり、弊社でも順次そちらの工法に切り替えています。
0.3㎜未満の比較的幅が狭いひび割れは「漏水の可能性が低いひび割れ」として適用され、ひび割れの補修方法も簡易になります。通常、ひび割れは1本線で伸びているものを想像しますが画像のように亀甲状のひび割れになっているものもあり、その場合は鏝で一気に摺込んで補修します。通常のクラックですとポリマーセメントフィラーを刷毛で塗り込んでいきます。
爆裂と躯体内の鉄筋が錆びて膨らみコンクリートの表面に亀裂が入ったり、欠落させてしまったりしている部分を指します。欠損とは単純にかけてしまっている部分を指します。左画像はわずかに茶色い鉄筋の断面が見えますので爆裂に当たります。爆裂・欠損共、エポキシ樹脂モルタルという特殊なモルタルを使用して成型、補修します。
何らかの原因で塗膜が膨れている部分を撤去し、下地との段差ができた場合はモルタルで修正、パターンローラーでパターン合わせをして復旧します。塗膜が膨れる原因としてはやはり雨水の侵入が一番多いようです。
肌合わせとは塗装面に吹付等で何らかのパターンがついている場合、そのパターンような模様を付けることを言います。本来は補修した部分のパターンをいったん削り落として平らにし新しく吹き付けを行い周辺と同様のパターンを付けるのが仕上がりとしては一番良いのですが、大規模修繕の場合はコストがかかる事と吹付の為、養生等も大変であることからへちま状の穴が開いたローラーでパターンを付けていくことが多いようです。
鉄筋コンクリート造(RC)の塗装面の外壁補修工事について詳しく知りたい方はこちら≫
■①まとめ
墨田区の大規模修繕工事の施工事例として取り急ぎ仮設工事から下地補修工事までをご覧いただきました。外壁タイル補修工事については第三者災害の防止の観点からも重要な工事ですし、見た目を整える上でも非常に大切です。また、外壁塗装面の下地補修は塗装してしまえば見えなくなってしまいますが、建物の長期保全を考えた場合非常に重要です。
我々オフィスチャンプでは、足場を掛けずに大規模修繕工事を行う事で施工コストを削減し、より品質の高い工事を提供しております。足場はあくまで「仮設」であり、取り払ってしまえば何もなくなってしまう物に多大な費用を掛ける必要はないのです。
リーズナブル、且つ品質の高い大規模修繕工事をお探しの方は是非オフィスチャンプにお声がけください。