大規模修繕工事の進め方とは?全7ステップ分けてわかりやすく解説

大規模修繕工事は、マンションの住環境の維持に欠かせません。工事の実施には数年単位の準備期間が必要で、工事費も高額になるため、時間をかけて計画的に修繕の準備をしておきましょう。

この記事では、大規模修繕工事の進め方を7つのステップに分けて解説します。大規模修繕について検討している管理組合の方、マンションのオーナーの方は、ぜひこの記事を参考に大規模修繕の準備を進めてみてください。

■そもそも大規模修繕とは?

大規模修繕とは、建築物の経年劣化に対応し、生活環境と建築物の価値を維持するために行なう規模の大きい修繕のことです。マンションやビルの建物全体に関わるような、屋根防水や外壁、建具、給排水管などが大規模修繕の対象となります。

修繕の規模が大きく、費用も多額になることから、大規模修繕は関係者の合意を得ながら、慎重かつ計画的に進めていかなければなりません。

大規模修繕の内容や修繕費は、長期修繕計画に定められています。長期修繕計画はマンションの共有部分の管理についてまとめたもので、予測される修繕工事やそれにかかる費用を設定しています。

一般的な大規模修繕の周期は、12~15年です。修繕の時期に合わせて、適切に準備していきましょう。

なお、修繕と似た言葉に「改修」がありますが、改修は修繕に加えて、建物の機能を改良するという意味が含まれています。

■大規模修繕工事の進め方

大規模修繕は、どのような手順で行なえば良いのでしょうか。事前準備から工事終了後の対応までを、7つのステップに分けて解説します。

◇【STEP1】事前準備を行なう
大規模修繕にともなう業務は多岐にわたるため、多くの時間や人手が必要です。修繕は管理組合の理事会が主導することもありますが、理事会の役員は組合の通常業務で多忙なため、なかなか時間が取れない可能性があります。

理事会が主導できない場合は、修繕委員会などの専門委員会を設置して、大規模修繕に向けた業務を遂行しましょう。

修繕委員会は大規模修繕に関するあらゆる業務に携わり、調査への立ち合い、工事内容の検討、説明会の実施などを行ないます。

委員は、マンション修繕の経験・知識がある人や、1~2年の任期中に責任を持って業務にあたれる意欲がある人などから選びましょう。また、委員の年齢層を多様化させることも大切です。

管理組合の業務状況などに応じて、必要な準備を行なってください。

◇【STEP2】パートナーを選定する
大規模修繕には専門的な知識が不可欠であり、マンションの住民だけですべての業務を遂行するのは困難です。そのため、大規模修繕では外部の専門家(パートナー)と契約し、業務を進めることが多くなっています。

コンサルタント、管理会社、施工会社などから、どこと契約するか決めましょう。それぞれをパートナーとした場合の違いは以下のとおりです。

  • コンサルタント

設計事務所などのコンサルタントと契約した場合、調査診断、修繕設計から施工会社の選定、工事監理までを一括して委託します。契約すれば業務のほぼすべてを委託できるため、管理組合の負担を大きく減らせるでしょう。

  • 管理会社

委託内容はコンサルタントと同様ですが、管理会社は普段からマンションを管理しているため、より安心して業務を任せられます。

  • 施工会社

コンサルタントや管理会社を通さずに、管理組合が直接施工会社を選定して契約する方式です。管理組合と施工会社の間に管理会社が入らない分、管理費を節約できます。ただし、施工会社にすべてを任せるため、第三者のチェックが入らず、金額や工事内容が不透明になりかねません。

費用や報酬が明確か、実績があるか、連絡が取りやすいかなど、修繕に必要な条件がそろっているかを確認し、最適なパートナーを選択しましょう。

◇【STEP3】調査・診断、修繕計画の策定
パートナーの選定が終わったら、パートナーと協力して修繕計画を策定します。

計画の策定のためにまず行なうのが、建物の劣化や損傷の状況を確認する調査・診断です。調査・診断はパートナー側が主導で行なうことが多くありますが、管理組合側もマンションの状況を確認したり住民にアンケートをとったりして、現状を把握しておきましょう。

調査・診断が終わったら、その結果をもとに、どのような補修・修繕が必要かを判断します。緊急性が高い箇所の修繕を優先させ、軽微な修繕は次回以降の大規模修繕時に対応するなど、優先順位を決めて修繕計画を立てることが大切です。

また、予算などに余裕があり、住民からの要望があれば、修繕と併せて改良工事の実施を計画に含める場合もあります。

修繕計画の工事費や工事内容が適正かを確認したら、必要に応じて長期修繕計画の見直し、一時金の徴収などを検討しましょう。

◇【STEP4】施工会社を選定する
修繕計画をもとに、パートナーが工事の具体的な仕様を設計します。施工会社以外をパートナーに選んだ場合は施工会社をリストアップし、見積りを依頼してください。

見積りの精査後、施工会社のプレゼンやヒアリングを経て、施工会社を選定します。

修繕工事は、施工会社によって仕上がりに大きく差が出る可能性があります。実績はあるか、工事瑕疵(かし)保証はあるか、アフターサービスは充実しているかなど、複数の項目をもとに施工会社を選びましょう。

◇【STEP5】総会決議を行なう
大規模修繕の概要が決まったら、総会を開催します。修繕の目的、工事の内容、工事の期間、委託先、費用などを組合員に説明し、組合員の承認を経て正式に工事を発注できるようになります。総会にあたっては公平性・透明性を重視し、組合員の疑問や不満、要望に対応できるよう、十分に準備しておくことが大切です。

また、大規模修繕では足場の設置などによって騒音が発生するため、組合員の生活にどのような影響が出るかも確実に周知しておきましょう。

総会後は近隣住民へのあいさつ回りを実施し、大規模修繕への理解と協力を得られるようコミュニケーションをとることも大切です。

◇【STEP6】着工する
総会での承認後、施工会社と工事請負契約を交わし、大規模修繕を実施します。

工事監理は基本的にパートナーが行ないます。工事の進捗をチェックして、問題があった場合は管理組合へ報告してくれるため適宜対応しましょう。

施工中は、修繕委員会や施工会社、パートナーと定期的に打ち合わせを実施します。工事の内容や進捗に問題がないかなどを確認してください。

◇【STEP7】工事終了後の対応を行なう
最後に竣工検査を行ない、工事結果の確認と点検を実施しましょう。工事の内容に不具合があれば、この時点で手直しを依頼してください。

竣工検査が終われば引き渡しとなり、大規模修繕工事もここで完了となります。なお、工事内容や写真などを記録した「竣工図書」は大切に保管しましょう。

■まとめ

生活環境の維持に欠かせない大規模修繕には、その実施に十分な準備期間と多額の資金がかかることから、計画的な準備が必要です。

大規模修繕は事前準備、パートナー選定、調査・診断、施工会社選定、総会議決、着工、工事終了後の対応、という7つのステップに分けられます。

修繕にかかる費用は組合員から集めた修繕積立金から支払われるため、透明性を重視し、組合員の理解と協力を得られるよう最大限努めましょう。

特に、修繕費についてはトラブルになりやすいため、正確でわかりやすい説明が求められます。どうしても修繕積立金が足りず、一時金を徴収する場合には、組合員からの理解を得る必要があります。

修繕費がかさむ場合は、工事の時期をずらしたり、工事手法をより安価なものに変更したりできないかを検討するのがおすすめです。

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