タイルの落下と下地のALC板の関係性とは

ALC構造 ビルの外壁にはタイルがよく使われています

ALCパネルは汚れがつきづらく、耐久性があるのでビルやマンションを作るときに多く使われています。

ALC構造ビル

さらに外壁に使われるタイルには薄くて軽い、さらに耐久性、防水性があるという特徴があります。
しかし、長い時間がたつと、タイルの落下やヒビ割れが目立ってきます。
タイル貼りの外壁は外壁塗装に比べると デザイン性が良く見栄えがとてもよいので人気ですが建物の構造によっては「割れ」や「揺れ」が発生しやすいという特徴があります・・・
タイルの浮きや、タイルの剥離、タイルの落下などの注意が必要になります。

ビル・マンション 外壁タイルの落下

タイルが落下してくる恐ろしさ

ビルやマンションが劣化してくると、タイルがはがれた、タイルが外壁から落ちてきた・・・という事故が多くなります。
劣化している場所のタイルは、ほかのタイルも一緒にはがれやすい・・・という危険性があります。大きなビルやマンションでは、高さがあるので、タイルが落下して人に当たると大きな事故になります。

タイルが落下してしまう原因はいくつかかんがえられますが、

  • 地震などの自然現象によるもの
  • 新築時の施工不良
  • 雨漏り、経年劣化
  • 建物の能増上の問題

が主な原因として挙げられます。

ALCの外壁タイルとは

最近のビルやマンションでは、鉄骨ALC構造で建物が作られている場合が多くみられます。
ALCは昭和50年代頃から、鉄骨造建物の外側の建材として使われるようになりました。

ALC構造ビル

ALCとは、Autoclaved Lightweight aerated Concreteの略で「高圧(10気圧)高温(180℃)装置を使って、約10時間養生し合成した空気が混合された軽量コンクリート」のことです。
原料は、セメント、珪石(SiO2)、生石灰(CaO)、アルミニウム粉末(高圧高温水蒸気と反応して発泡)です。

ALCは内部には小さな気泡があり、水にも浮くという性質があります。

ALC壁というとあまりピンと来ないかも知れませんが、「ヘーベルハウス」という言葉をご存じでしょうか?

ヘーベル ALC

「ヘーベル」は旭化成建材が販売しているALCの商品名のことです。ヘーベルハウス=ALCを用いた一戸建てということにななります。ビルと住宅に使われるALCの厚みは違いますが、ビルやマンションの外壁に用いるALCは、厚み50mmのALC板が一般的には使われています。

現状では、ビルやマンションを作るときにALCパネルの表面にタイルを貼るという工事が普通のように行われています。しかし、これはやっていけない工事なのです。
ALCパネルの表面にタイルを貼ることは、ALCパネルが呼吸ができなくなり、劣化や風化の原因になります。

ALCの特徴とは

ALCは安くて軽いが、耐久性がない

ALCの特徴は、「気泡含有コンクリート」なので耐熱性があります。さらに湿度を調節する機能があります。

ほかにも

  • とにかく重さが軽い(比重0.6)
  • 工場で作っているので製品が安定している
  • 気泡があり、加工がカンタン
  • 湿度を調節しやすい
  • 廃番がなく20年たっても交換できる
  • 薬剤注入により強度が回復できる

などのメリットがあります。
ALC壁には耐火性能もあるので、防火区画壁として使われることも多くあります。エレベータの周囲などでも、ALC壁で作る場合がおおくあります。

もちろんですが、ALCにも欠点があります。

  • 衝撃には弱い
  • 鉄筋コンクリートより密度が少ない
  • コーナー部分などは、すぐに欠けてしまう
  • 風化しやすい

などです。つまり、安くて、加工しやすいのですが、耐久性には疑問が残るわけです・・・

ALC内部に水が溜まるとどうなるのか?

ALC内部に水が溜まるとは

ALCは湿度を調節する機能があります。気泡が多いのでパネルが自ら呼吸をしているわけです。そのため、パネルの裏面は、塗装をしてはいけない!!というルールがあります。本来ならば、表面の塗装も、調湿性のある塗料を使うべきです。
しかし、雨水を内部に入れないようにと、「防水性の高い塗料」で塗装しているのが現状です・・・これが問題を引き起こしています・・・
この防水性の高い塗料を室内側にまでしてしまうと、コンクリートが呼吸できなくなります。裏面は塗装しないので、普通は呼吸ができるのですが、防水塗装をしてしまうと呼吸ができなくなります。
この場合、防水塗膜をこまめにメンテナンスして常に完全な防水状態を保つことができるならばALC板も長持ちしますが、ほとんどの場合、放置されています。塗膜が膨らんだり、剥離したりするのは、これが原因です。
建物を作る業者は、いかに安く作るか?と考えてしまい、メンテナンスのことを考えていない場合が多くあります。

外部から侵入した雨水が塗膜により逃げ場を失うと、内部に水が溜まります。
水にひたったALC板は内部から劣化が進みます。そして、最後には手で触るだけでボロッと砕け落ちるほど、建物が劣化します。すると、タイルのひび割れ、タイルの落下につながるわけです。

ALCに塗装やタイルを張る場合は、ALC板の特徴をよく理解しておく必要があります。さもないと、ALC板が劣化し、タイルのはがれ、塗料のはがれをまねていてしまいます・・・

ALCのつなぎ目にも注意

つなぎ目のタイルが落ちやすい

ALC板にはつなぎ目があります。ここのタイルも劣化しやすい特徴があります。ALCはパネルですので複数枚のパネルをつないで壁面が成立しています。そのパネルとパネルの間はシーリング材が充填されています。シーリングの部分が雨養生の役割も担っているわけです。

タイルを剥がしたときに、下地にシーリング材があれば一緒に撤去します。
その部分のシーリングを再充填する必要があります。

つなぎ目のタイルが落ちやすい

ビルやマンションの補修工事をする場合も、建物がALC構造の場合、切込みなどを最小限にする必要があります。
ALCはもろいために、慎重に工事が必要なわけです。

鉄骨ALC造の外壁タイル工事について詳しく知りたい方はこちら≫

タイルの補修工事では、ビルの下地がどうなっているのか? RC構造なのか、ALCなのか?によっても慎重さが変わってきます。
工事は、職人の現場の調査力と、施工技術の両方が必要になります。

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